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医療法人の承継/譲渡のポイント


【1.1.医療法人の持分の承継・相続のポイント】

 相続の開始前に、後継者に出資持分の集中と、その社員/理事(理事長)への就任をスムーズに行っておくことが理想です。
 医療法人の社員(出資者)は、出資額にかかわらず1人1票の議決権を有し、また退社に伴う出資額に応じた持分の払戻や、残余財産の分配請求権があります。これらが後継者以外により無定見に行使されると、医療法人の運営だけでなく財務面からもその存続が危ぶまれることになります。
 出資額限度法人や、持分の定めのない医療法人への移行による出資額の評価の引下げなども選択肢としてありますが、同族要件を含めて移行条件をクリアすることは、一般的な医療法人には困難となっています。
 この司法判断については、平成20年7月の東京高裁で、解散時の残余財産の分配請求権は別にして、医療法人が存続し経営が継続している限り、退社による持分の払戻は出資額しか請求できないとの判決があり、今後の最高裁の判断が注目されます。
 持分の払戻や残余財産の分配については、出資額を超えた部分が配当として総合課税され、最高 50%の課税となります。これを後継者等への出資持分の譲渡にすれば、譲渡所得として20%の分離課税で済みます。
 したがって事例のように、出資額の評価の引下げによる譲渡や贈与を併行させた、地道な出資持分の移動が有効となります。

【2.第三者への譲受/譲渡、承継のポイント】

 理事(理事長)の変更は、一度、前理事が退社して持分の払戻を受けた後、新理事(理事長)が同額を出資すべきとの解釈もあるようです。
 しかし、この場合は、【1.医療法人の持分の承継・相続のポイント 】で解説したような高率の配当課税が発生することになりますので注意が必要です。
 “ 社員間 ” の出資持分の譲渡については、昭和57年6月の浦和地裁判決でも「定款に反しない限り容認される」とされております。
 実務的にも、譲渡が行われており、法人からの持分払戻ではないことから、配当禁止にも抵触しないと考えられます。
 譲渡する際の前提としては、承継前に社員の身分を獲得(入社)しておくことが重要となります。
 第三者承継の場合、譲渡価額(評価額)は、のれん代の評価を含め当事者間の合意で決定できますが、信頼できる税理士等の介在が望まれます。
 その際、隠れ債務や医療事故、過去の診療報酬不正請求などのリスクの危険担保や、借入れについての理事長個人保証の整理等もしておく必要があります。
 承継前の適正な退職金の受給とともに、理事長所有の土地・建物などの資産は、事前に法人に譲渡しておくのか、承継後も賃貸関係を継続するのか、新旧理事長間で譲渡するのかなど、承継後の収入の確保や相続時の財産評価などもあわせて検討することが大切です。
 新設できない経過措置型医療法人をこの方法で取得することも考えられますが、単なる法人格の売買にならないように、実体を伴った承継となることが指導されます。

【3.その他の承継の方法】

 持分のない医療法人には、出資の譲渡という形態がなく、実務的には理事長退職金の支給や、不足なら承継後、実態を整えての非常勤理事報酬・医師給与での継続支払等も加味しての清算が考えられます。
 医療法人に十分な退職金などの原資がない場合、譲受側が追加の基金・資金の拠出をすることも必要になります。
  また合併については、総社員の同意と都道府県知事の認可により可能です。通常は吸収合併の形をとることになり、廃止や清算手続が省略できるなどの利点がありますが、クリニック規模のレベルではあまり行われることはありません。


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